科学本の言葉–1–(リチャード・ドーキンスの言葉)
「あまりに身近にありすぎて麻痺してしまった感覚がある。日常のうちにうもれてしまった感性がある。身近さや日常は感覚を鈍らせ、私たちの存在に対する畏敬の念を見えなくする。」――リチャード・ドーキンス
上記の言葉が記されているのは、『虹の解体 いかにして科学は驚異への扉を開いたか』。この本で著者リチャード・ドーキンスがしたいことは、「科学における好奇心(センス・オブ・ワンダー)を喚起すること」だという。
リチャード・ドーキンスは、進化論の語り手として、科学啓蒙家として、一般にもよく知られている生物学者。世界的なベストセラー『利己的な遺伝子』の著者としても有名だ。
現代の進化論によると、地球上のすべての生物はたった一つの祖先に由来する。そのたった一つの原始的生命が、途方もない時間をかけて分岐していき、現在の多種多様な生物が生じたという。その過程では、たくさんの生物が絶滅している。(進化が事実であるという証拠を、リチャード・ドーキンスは提示している。たとえば、『進化の存在証明』という本で)
進化論を信じるかどうかは人それぞれだろうが、進化論の壮大な視点に立って私たち自身を眺めたとき、このもっとも身近な思考する存在はどのように映るだろう? 細菌のようなものが進化してヒトになることを、真剣に想像してみるといいかもしれない。
「身近さや日常は感覚を鈍らせ、私たちの存在に対する畏敬の念を見えなくする」
科学的視点で、私たち自身を、また、この世界を眺めてみるのは、「日常のうちにうもれてしまった感性」を掘り起こす一つのきっかけになるかもしれない。
『虹の解体』は、さまざまな科学の話題が盛り込まれた一冊。内容については、書評ページを。
虹の解体
- 著 者:
- リチャード・ドーキンス
- 出版社:
- 早川書房
初投稿日:2016年05月08日最終加筆:2017年08月20日