書評(脳/医学)
免疫から哲学としての科学へ
- 著 者:
- 矢倉英隆
- 出版社:
- みすず書房
免疫は「生命と不可分の機能」であり「最も古く、最も普遍的な認知装置」という論を展開している。
夢を叶えるために脳はある
- 著 者:
- 池谷裕二
- 出版社:
- 講談社
「脳はなんのためにあるのか」という問いを中軸に高校生と議論を繰り広げ、著者の「脳観」を伝えている。
幸福感に関する生物学的随想
- 著 者:
- 本庶佑
- 出版社:
- 祥伝社
本庶佑の研究の歩みを見渡せる一冊。ノーベル生理学・医学賞受賞記念講演後にノーベル財団に提出した原稿を収録している。
がん免疫療法とは何か
- 著 者:
- 本庶佑
- 出版社:
- 岩波書店
「PD-1抗体によるがん免疫療法」など、免疫を中心に生命科学や医療について幅広く論じている。
免疫・「自己」と「非自己」の科学
- 著 者:
- 多田富雄
- 出版社:
- 日本放送出版協会(現/NHK出版)
「NHK人間大学」で著者多田富雄が行なった12回の講義をもとに書かれたもの。免疫学の歴史を交えて、免疫の仕組みを解説する。
免疫の意味論
- 著 者:
- 多田富雄
- 出版社:
- 青土社
ベストセラーとなった多田富雄の代表作。免疫学的な「自己」と「非自己」について論じ、また、個体の生命というその全体性に光を当てている。
免疫の守護者 制御性T細胞とはなにか
- 著 者:
- 坂口志文/塚﨑朝子
- 出版社:
- 講談社
制御性T細胞の発見者である坂口志文が、自身の研究の歩みを綴りながら、その発見の経緯や医療への応用を丹念に描き出す。
遺伝子が語る免疫学夜話
- 著 者:
- 橋本求
- 出版社:
- 晶文社
自己免疫疾患やアレルギーがなぜ起きるようになったのか、遺伝学やバイオインフォーマティクスの知識を使って迫っていく。
生命科学の未来
- 著 者:
- 本庶佑
- 出版社:
- 藤原書店
本庶佑の2つの講演と静岡県知事・川勝平太との対談を収録。本庶佑が自身の研究の歩みとその成果を語っている。
免疫「超」入門
- 著 者:
- 吉村昭彦
- 出版社:
- 講談社
免疫の基本的な仕組みから免疫学の医療への応用まで解説。一般レベルで深く丁寧にサイトカインにまつわる説明を行っている。
寝る脳は風邪をひかない
- 著 者:
- 池谷裕二
- 出版社:
- 扶桑社
本書は、『週刊エコノミスト』(毎日新聞出版)の連載エッセイをまとめたもの。脳、記憶、AI、環境、インターネット、医療など多彩なテーマが登場。
新しい自然免疫学
- 著 者:
- 坂野上淳
- 出版社:
- 技術評論社
免疫について知るための入門書的な一冊。本書の中心は自然免疫だが、獲得免疫も含めて免疫システムについて幅広く解説している。
おすすめ本(脳/医学)
自己とは何かを免疫学の観点から考えてみたい方におすすめの本
- 著 者:
- 多田富雄
- 出版社:
- 青土社
ベストセラーとなった多田富雄の代表作。免疫学的な「自己」と「非自己」について論じ、また、個体の生命というその全体性に光を当てている。
免疫学や生命科学の研究に興味がある方におすすめの本
- 著 者:
- 坂口志文/塚﨑朝子
- 出版社:
- 講談社
制御性T細胞の発見者である坂口志文が、自身の研究の歩みを臨場感あふれる筆致で綴っている。研究者の仕事が垣間見える一冊。
免疫の進化に興味のある方におすすめの本
- 著 者:
- 橋本求
- 出版社:
- 晶文社
自己免疫疾患はなぜ起きるようになったのか。時空を超えてつながる、進化の観点からの論考が興味深い。
免疫にまつわる読ませる物語をお探しの方におすすめの本
- 著 者:
- ダニエル・M・デイヴィス
- 出版社:
- NHK出版
免疫にまつわる探究をした数多の科学者たちの挑戦を、読み応えのある物語に仕立てあげている。
免疫の一般向け入門書としておすすめの本
- 著 者:
- 審良静男/黒崎知博
- 出版社:
- 講談社
本書は、「免疫反応の流れがよくわかるように」解説している。100ページ程度で免疫反応の流れを大まかに把握できる。
「時間の知覚」に興味のある方におすすめの本
- 著 者:
- オリヴァー・サックス
- 出版社:
- 早川書房
本書は、知覚、記憶、意識といった、さまざまな角度から人間の本質を探究する一冊で、10篇のエッセイからなる。
ミラーニューロンを一般レベルで詳しく知りたい方におすすめの本
- 著 者:
- ジャコモ・リゾラッティ/コラド・シニガリア
- 出版社:
- 紀伊國屋書店
ミラーニューロンの発見者が、解剖学的・機能的な記述と豊富な実験データを交えながら、ミラーニューロンの発見とその意味合いを一般向けに詳しく解説。
「こころ」の脳科学の基礎知識を〝要領よく〟得たい方におすすめの本
- 著 者:
- 櫻井武
- 出版社:
- 講談社
こころ、情動、感情、こうしたことについて考えるための、さまざまな脳科学の知見を得ることができる『「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」』(櫻井武)をオススメ。
快感の脳科学に興味のある方におすすめの本
- 著 者:
- デイヴィッド・J・リンデン
- 出版社:
- 河出書房新社
専門的な解説と読み物としてのおもしろさを兼ね備えた読み応えのある本『快感回路』(デイヴィッド・J・リンデン)をオススメ。
神経科学を一般書レベルで学びたい方におすすめの本
- 著 者:
- デイビッド・J・リンデン
- 出版社:
- インターシフト
文庫版の書名は『脳はいいかげんにできている』。前半部分でしっかりと神経科学の基礎を解説し、その後で、「感覚と感情」「記憶と学習」「愛とセックス」「睡眠と夢」「宗教」といったテーマを論じていく。
「意識」を脳科学にもとづいて考えてみたい方におすすめの本
- 著 者:
- アントニオ・R・ダマシオ
- 出版社:
- 講談社
文庫版の書名は『意識と自己』。「ソマティック・マーカー仮説」で世界的に知られている神経学者ダマシオが、意識とは何か、意識はどのように構築されるのかを、自己に焦点をあて、オリジナルの用語を導入して独創的に描き出している。
共感覚を〝網羅的に〟知りたい方におすすめの本
- 著 者:
- リチャード・E・サイトウィック/デイヴィッド・M・イーグルマン
- 出版社:
- 河出書房新社
多種多様な共感覚の事例を網羅的に紹介し、共感覚の神経基盤を考察する『脳のなかの万華鏡』(リチャード・E・サイトウィック/デイヴィッド・M・イーグルマン)をオススメ。
記憶の脳科学〝入門書〟としておすすめの本
- 著 者:
- 井ノ口馨
- 出版社:
- KADOKAWA
脳科学の研究史を辿り、脳科学の基礎知識を伝授し、そして分子脳科学によって明らかにされてきた「記憶研究のフロンティア」を伝えた『記憶をあやつる』(井ノ口馨)をオススメ。
「人間や自己について」思索している学生におすすめの本
- 著 者:
- 井ノ口馨
- 出版社:
- 岩波書店
「脳科学、記憶研究」へ「若い俊才たち」を招待する『記憶をコントロールする 分子脳科学の挑戦』(井ノ口馨)をオススメ。
睡眠と記憶のかかわりを脳科学に基づいて考えてみたい方におすすめの本
- 著 者:
- ペネロペ・ルイス
- 出版社:
- インターシフト
〝脳で起きている凄いこと〟を約100ページにまとめた『眠っているとき、脳では凄いことが起きている 眠りと夢と記憶の秘密』をオススメ。(この本は約200ページ)
脳の適応力のすごさ、潜在力、不可思議さを感じたい、物語が好きな方におすすめの本
- 著 者:
- オリヴァー・サックス
- 出版社:
- 早川書房
長年にわたり読み継がれてきた、脳神経科医オリヴァー・サックスの傑作。さまざまな困難や身体的変化に直面した有機体(人間)が、その状況に適応し、自らを再構成していくことをテーマにした七つの物語。
人の行動や思考と〝無意識〟との関係を脳科学に基づいて考えてみたい方におすすめの本
- 著 者:
- デイヴィッド・イーグルマン
- 出版社:
- 早川書房
いくつもの事例を積み重ねて、〝無意識〟の広大さを説いていく『意識は傍観者である 脳の知られざる営み』(デイヴィッド・イーグルマン)をオススメ。
感染症の病原体をつきとめていく生物学的手法、プリオン病の研究史、に興味がある方におすすめの本
- 著 者:
- 福岡伸一
- 出版社:
- 講談社
ノーベル賞を受賞したセオリーである「プリオン説」を批判的に再検討した『プリオン説はほんとうか?』(福岡伸一)をオススメ。
皮膚科学の知見をもとに、人のこころ、生命とは何か、を考えてみたい方におすすめの本
- 著 者:
- 傳田光洋
- 出版社:
- 朝日出版社
皮膚と脳との類似性を示し、「皮膚も脳である。言わば第三の脳だ」と「宣言」した『第三の脳』(傳田光洋)をオススメ。
睡眠の脳内メカニズムを知りたい方におすすめの本
- 著 者:
- 櫻井武
- 出版社:
- 講談社
脳科学の基礎知識をコラムの形で提供しながら、睡眠と覚醒の脳内メカニズムを解説した『睡眠の科学』(櫻井武)をオススメ。
脳に興味をもった人の「入門書」としておすすめの本
- 著 者:
- 池谷裕二
- 出版社:
- 講談社
少数の高校生への講義をまとめた大好評の一冊『進化しすぎた脳』(池谷裕二)をオススメ。
脳の「不思議」を感じたい人へおすすめの本
- 著 者:
- V.S.ラマチャンドラン/サンドラ・ブレイクスリー
- 出版社:
- 角川書店
脳への興味がさらに膨れ上がる。脳という〝ミステリー〟を楽しみたい方に『脳のなかの幽霊』(V.S.ラマチャンドラン/サンドラ・ブレイクスリー)をオススメ。
著者案内(脳/医学)
本庶佑の本、どれを読む?
本庶佑は、「免疫抑制の阻害によるがん治療法の発見」によって、2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞。他にも重要な研究成果を挙げており、著書を通してそれらの研究を概観できる。読者の知識レベルを引き上げる解説。
オリヴァー・サックスの本、どれを読む?
脳神経科医オリヴァー・サックスは、奇妙な神経学的な症例を人間味あふれる「患者の物語」として描き、脳の適応力のすごさや不可思議さを浮き彫りにする。
デイヴィッド・J・リンデンの本、どれを読む?
神経科学者デイヴィッド・J・リンデンは、ある日本人同業者に「神様のような存在」と称えられている。専門用語を交えた本格的な解説でありながら勉強的な雰囲気を感じさせない、おもしろい読み物に仕上げる名手。
デイヴィッド・イーグルマンの本、どれを読む?
現実とは何か。意識は傍観者である。デイヴィッド・イーグルマン(David Eagleman)は、ふだん気づきにくい私たち自身の謎を、豊富な事例を積み重ねて浮き彫りにする第一級の書き手。
井ノ口馨の本、どれを読む?
井ノ口馨は、記憶を分子レベルで研究しており、『セル』『サイエンス』などに発表した研究成果を記憶研究の歴史などを織り込みながら紹介している。著書の魅力は、記憶研究の歴史と最先端の研究成果を知ることができるところ。
櫻井武の本、どれを読む?
櫻井武は、覚醒を安定化させている神経ペプチド「オレキシン」の発見者として知られている。絶妙な解説で、「睡眠・覚醒」の脳内メカニズムに興味を持った一般読者を深く満足させる。
傳田光洋の本、どれを読む?
傳田光洋は、皮膚科学の見地から、人のこころや生命を語る。皮膚は「第三の脳」である。皮膚は個体と環境の境界である。そのような観点からの考察が魅力。
マイケル・S.ガザニガの本、どれを読む?
認知神経科学の世界的権威で、分離脳研究で知られているマイケル・S.ガザニガ。脳とこころの関係を、人間とは何かを、科学的な見地から論じる。
アントニオ・R・ダマシオの本、どれを読む?
「ソマティック・マーカー仮説」で知られる著名な神経学者アントニオ・R・ダマシオ。「脳」だけでなく「身体」も重要視した独創的な論考が魅力。
池谷裕二の本、どれを読む?
池谷裕二は、トップジャーナルである『サイエンス』に論文が掲載されたことがある現役の脳研究者。現役ならではの「最新知見」を盛り込んだ内容が大好評。
ジョゼフ・ルドゥーの本、どれを読む?
ジョゼフ・ルドゥーは「情動」研究の第一人者であり、恐怖の脳内メカニズムの研究者としてよく知られている。脳部位では、とくに「扁桃体」を詳細に解説。
V.S.ラマチャンドランの本、どれを読む?
幻肢の研究などで知られている神経科学者V.S.ラマチャンドラン。脳損傷患者の奇妙な言動の謎を「シャーロック・ホームズばりの探索」で解き明かす。
テーマ案内(脳/医学)
「免疫」の本、どれを読む? 自己を守る複雑かつ巧妙なしくみ
複雑かつ巧妙な免疫のしくみを科学者たちはどのようにして解き明かし、その知見は医療にどう役立てられているのか。自己免疫疾患やアレルギー、免疫の進化など、免疫をテーマにした本には多彩な話題が登場する。
知覚の不可思議さを際立たせる「共感覚」
生物的なしくみが異なれば、享受している世界は異なる。この知覚の不可思議さを際立たせているのが「共感覚」と捉えたとき、この読書テーマは、きっと誰にとってもおもしろいものになる。
ミラーニューロンを知る
ミラーニューロンはまるで鏡のように他者を映し出す神経細胞であり、私たちの「共感」を支える細胞とも言われている。その発見は「生物学におけるDNAの発見」に例えられるなど、注目を集めた。