宇宙で最初に生まれた星、ファーストスター
暗黒宇宙から光り輝くこの宇宙へ、そして私たち生命の起源へとつながる、ファーストスターの誕生
太古の暗黒宇宙に生まれた最初の星々が、ポツポツと光り輝く姿は幻想的だが、それは遥か昔に実際に起こったことなのだろう。その最初の星の誕生から、宇宙は進化して、無数の銀河が光り輝く現在の宇宙となった。
暗黒宇宙で最初に光り輝いた星たちは、ファーストスター(初代星)と呼ばれている。水素とヘリウムのみで構成されており、太陽よりも100万倍明るい青白い恒星と考えられているようだ。
少し残念な気もするのだが、ファーストスターはたった一つの星を指すわけではないそうだ。宇宙のはじまりから1〜5億年の間(有望なのは3億年の頃)に、宇宙のあちこちでポツポツとほぼ同時多発的に星たちが誕生したと推察されており、これらの星たちを総称してファーストスターと呼ぶそうだ。
そして天文学者たちは、ファーストスター発見を目指して、遠方の宇宙を探査している。ハッブル宇宙望遠鏡の後継機「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」や、超大型天体望遠鏡「30メートル望遠鏡(TMT)」が稼働する頃には、ファーストスター発見のニュースが飛び込んでくるのかもしれない。
現在では理論が先行しており、コンピュータ・シミュレーションにより、ファーストスターが〝発見〟されている。
下記2冊がこのレビューの参考文献で、一方は理論天文学者によって、もう一方は観測天文学者によって書かれたもの。どちらもファーストスターは、内容の一部としてとりあげられている。
私たちは星屑でできている、という言葉を聞いたことがある人はきっと多いはず。暗黒宇宙から光り輝くこの宇宙へ、そして私たち生命の起源へとつながる、ファーストスターの誕生を読書テーマにしてみるのはどうだろうか。
ファーストスターを知る書籍
『宇宙で最初の星はどうやって生まれたのか』
「理論」天文学者の視点から解説される。コンピュータ・シミュレーションによるファーストスター研究について述べられている。
- 著 者:
- 吉田直紀
- 出版社:
- 宝島社
『宇宙のはじまりの星はどこにあるのか』
「観測」天文学者の視点から解説される。本書は「深宇宙」の観測や、星や銀河の解説などと共にファーストスターがとりあげられている。
- 著 者:
- 谷口義明
- 出版社:
- メディアファクトリー