免疫の進化に興味のある方におすすめの本
遺伝子が語る免疫学夜話
- 著 者:
- 橋本求
- 出版社:
- 晶文社
本書のベースには、進化という壮大な物語が流れている。
著者は自己免疫疾患を専門とする医師で、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患がなぜ起きるようになったのかを考察している。「どのように(HOW)」ではなく、「なぜ(WHY)」起きるのかにフォーカスしているところが本書の特徴だ。
その考察は、現代医学の最新の根拠に基づき、各地域で猛威をふるった様々な重篤な感染症が遺伝子の自然選択に影響を及ぼしている、という視点からなされている。時空を超えてつながる、進化の観点からの論考が興味深い。
また、獲得免疫系はいつ出現したのか、現生人類ホモ・サピエンスとネアンデルタール人との「邂逅」など、進化の歴史に沿って免疫にまつわる多彩な話題を論じている。
書名の「夜話」という言葉が示すとおり、優れた語り手のお話を聞くように気楽に読み進めることができる一冊。内容については書評ページを。
初投稿日:2024年04月08日