皮膚科学の知見をもとに、人のこころ、生命とは何か、を考えてみたい方におすすめの本
第三の脳
- 著 者:
- 傳田光洋
- 出版社:
- 朝日出版社
人のこころ、生命とは何か、こうしたトピックに興味がある方におすすめしたい〝著者〟のひとりが、傳田光洋だ。
このレビューのタイトルに「皮膚科学の知見をもとに」と付けたが、著者は、皮膚科学の知見だけではなく、熱力学の知見にも基づいて、生命を語っている。(熱力学がわからなくても読める)
傳田光洋は、大学では工学部の物理化学を専攻し、皮膚の研究に携わることになったのは、30歳の頃という異色の経歴を持つ。そのような著者だからこそ、皮膚科学、また、熱力学の知見に基づいて、というように幅広い視点から語ることができるのだろう。この著者が放った第二弾、『第三の脳』は、その魅力が全開といえる意欲作だ。
個体と環境の境界である皮膚は、ただ身体を包むだけのものではない。それは外側にある「臓器」だという。脳と表皮との類似性などを示し、「皮膚も脳である。言わば第三の脳だ」と著者は「宣言」した。
生命、こころ、といった壮大な謎は、現代科学をもってしても、いまだ解き明かされてはいない。その謎に思いをはせるうえで、傳田光洋の本は私たち読者に新たな視点をもたらしてくれる。
初投稿日:2015年11月08日