「こころ」はいかにして生まれるのか
著 者:
櫻井武
出版社:
講談社
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「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた
著 者:
橋本幸士
出版社:
講談社
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免疫の意味論
著 者:
多田富雄
出版社:
青土社
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ブラックホールをのぞいてみたら
著 者:
大須賀健
出版社:
KADOKAWA
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これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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皮膚感覚と人間のこころ
著 者:
傳田光洋
出版社:
新潮社
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旅行記で福岡伸一の生命観に触れてみたい方におすすめの本

生命海流
著 者:
福岡伸一
出版社:
朝日出版社
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『生命海流 GALAPAGOS』は、ひとことで言えばガラパゴス旅行記だが、そこに福岡生命論、進化論、地球科学的な話題、歴史など、多彩なエピソードが織り込まれており、旅行記にとどまらない魅力がある。

著者の福岡伸一は、生物学者だが文学的な素養も兼ね備えており、稀に見る、抒情に富んだ科学本をつくりあげている。どの著書にも科学と文学が融合されたような独特の味わいがあり、個人的にはおすすめしたくなる本ばかりだ。本書『生命海流』にもそのような妙味が感じられる。ガラパゴスの生物たちが人間を恐れない理由を考察した結びは、生命への讃歌を聴いたような余韻が残る。

船のトイレ事情といった旅行記らしいエピソードが、「ピュシスvs.ロゴス」という旅のテーマの一つを浮かび上がらせているようなところも、おもしろい。

ナチュラリストを名乗る著者だが、本書では、自身のことを「都会のひ弱な、ニセモノ・ナチュラリスト」と何度も書いている。ガラパゴスに圧倒され、感動させられ、鼓舞されながら、同時にその「むき出しのピュシス(=自然そのもの)の洗礼」を受けてたじろぐ姿が描かれている。おそらく、その自身の描写をとおして、「ピュシスvs.ロゴス」を浮き彫りにしたのではないかと思う。

旅にいたるまでの長いプロローグもユニークだ。著者の長年の夢は、チャールズ・ダーウィン(かつてビーグル号に乗ってガラパゴスを探検した)と同じ航路をたどってガラパゴスを旅することだった。この夢が叶うまで、すなわち本書の企画に出会うまでの経緯も、「スター編集者」や出版界事情などさまざまなエピソードを交えて巧みに綴られている。

旅行記であり、福岡生命論でもあり、その両面がうまく織り交ぜられた一冊。自身の生命観を多様なスタイルで描き続ける著者の博識と表現力がすごい。

初投稿日:2024年12月02日

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