「こころ」はいかにして生まれるのか
著 者:
櫻井武
出版社:
講談社
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「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた
著 者:
橋本幸士
出版社:
講談社
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免疫の意味論
著 者:
多田富雄
出版社:
青土社
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ブラックホールをのぞいてみたら
著 者:
大須賀健
出版社:
KADOKAWA
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これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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皮膚感覚と人間のこころ
著 者:
傳田光洋
出版社:
新潮社
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大栗博司の本、どれを読む?

「大栗博司の本、どれを読む?」メイン画像

「やさしくても本格的」、読み物としてもおもしろい。「ごまかさない」解説と巧みな表現で素粒子世界を案内する

大栗博司は、カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授。素粒子理論、とくに超弦理論(超ひも理論)の専門家であり、世界的に活躍している。物理学者であるが、アメリカ数学会の初代フェローに選ばれるなど、数学においての活躍もよく知られている。

一般向けの講演や書籍の執筆などのアウトリーチ活動にも力を注いでおり、重力、素粒子論、超弦理論をテーマにしたポピュラーサイエンスの良書を上梓している。

一般向けの書籍であっても「ごまかさない解説」「たとえ話は正確さを犠牲にしない」といったことを大切に執筆しており、その執筆姿勢からは「やさしくても本格的」という矛盾しかねない要素をうまく兼ね備えた書籍が生みだされている。

さらに著書には、登場する科学者や著者自身のエピソードが巧みな表現で織り込まれ、読み物としてのおもしろさもある。このあたりが他の多くの新書とは一線を画する読後感をもたらしている。

また、科学者たちの似顔絵も担当するなど、細部にも気を配りながら書籍づくりを楽しんでいる様子もうかがえる。

大栗博司の書籍

2024年5月現在、大栗博司のポピュラーサイエンスの本は、以下のとおり。(監修、監訳、解説、著者多数や対談相手として登場の本は除外)

半生を振り返りながら、どのように知を育んできたか、研究者にとって大切なことは何かを伝え、基礎科学の社会的意義を考察する『探究する精神』

専門分野の知識だけでなく哲学など幅広い知識をもつ物理学者が、小学生の頃からどんな本を読んでその知を育んできたか、どんな考えのもと大学や研究者としてのキャリアを選択してきたかがよくわかる一冊。研究者としての高い能力と大学・研究所運営の手腕を併せもつ著者の有能さに圧倒されるが、どのエピソードもユニークでおもしろい。

【幻冬舎新書】
探究する精神
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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さまざまな媒体に掲載された、大栗博司の科学解説記事や対談・座談会の記録をまとめた『素粒子論のランドスケープ2』

さまざまな媒体に掲載された、重力や素粒子論、超弦理論にまつわる解説記事をまとめて読むことができる。話題になった重力波の直接観測やヒッグス粒子の発見についての記事、著者による南部陽一郎の追悼記事などがある。また、対談・座談会は6本収録されている。前作(『素粒子論のランドスケープ』)と比べると、気軽に読める一般向けの記事が多くなっている。

【単行本】
素粒子論のランドスケープ2
著 者:
大栗博司
出版社:
数学書房
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仏教学者の佐々木閑との対話『真理の探究』

中日文化センターで行われたトークセッション(三回)の内容をもとに作られた対談本。できるかぎり正しく世界を見ること、これが対話の軸に据えられている。本書の構成は、つぎのようなもの。まず、佐々木閑による「序」がある。つぎに、著者の二人、佐々木閑と大栗博司が、それぞれの専門について語る。そのあとに、二人の対話。最後に、著者それぞれの「特別講義」

【幻冬舎新書】
真理の探究
著 者:
佐々木閑/大栗博司
出版社:
幻冬舎
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幻冬舎ウェブサイトで連載していた数学コラムをまとめた『数学の言葉で世界を見たら』

たくさんのエピソードを交えながら、娘に語りかけるように解説。本書に登場する話題は、ベイズの定理、基本原理から数の性質を考える、フェルミ推定、素数、「無限世界と不完全性定理」、ピタゴラスの定理、デカルト座標、「ユークリッドの公理が成り立たない世界」、微分積分、虚数、「ガロア理論」、など。

【単行本】
数学の言葉で世界を見たら
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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究極の統一理論の最有力候補と目されている超弦理論(超ひも理論)の入門書『大栗先生の超弦理論入門』

『大栗先生の超弦理論入門』は、重力の理論と量子力学を統合できる理論として期待されている「超弦理論(超ひも理論)」を解説している。10次元時空が登場するが、もちろん大真面目な物理学の本。「空間は幻想」という話も登場する。文系向けの超弦理論入門書の決定版といえる。

【ブルーバックス】
大栗先生の超弦理論入門
著 者:
大栗博司
出版社:
講談社
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素粒子の標準模型が解説され、また「ヒッグス粒子発見の本当の意義」も語られている『強い力と弱い力』

『強い力と弱い力』は、素粒子の標準模型を数式なしで案内する。南部陽一郎の「対称性の自発的破れ」や、ヒッグス場、ヒッグス粒子に興味がある方にとくにおすすめ。標準模型の概要を知りたい文系読者には必読といえるかも。著者が読者を信頼し「やさしくても本格的」の「本格的」が失われないように解説をしているのがよくわかる。

【幻冬舎新書】
強い力と弱い力
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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話題になった本。相対性理論や超弦理論などを解説した『重力とは何か』

『重力とは何か』は「重力の七不思議」から説き起こし、アインシュタインの相対論や超弦理論(超ひも理論)を解説している。「ブラックホールの情報問題」に興味がある方にもおすすめ。空間はある種の「幻想」といった興味深い内容があり、ここが本書のクライマックス。

【幻冬舎新書】
重力とは何か
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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さまざまな媒体で執筆した科学解説記事をまとめた『素粒子論のランドスケープ』。文系読者なら他書を先に読むことをおすすめ

『素粒子論のランドスケープ』は、著者がさまざまな媒体で執筆した科学解説記事をまとめたもの。専門の雑誌に書いたものばかりなので、新書のようなやさしい解説とは異なる。記事によっては難解な数式も登場。本書を最初に読んでしまって、大栗博司の本は難しいというイメージを持たないようにしたい。

【単行本】
素粒子論のランドスケープ
著 者:
大栗博司
出版社:
数学書房
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大栗博司の本、どれを読む?

タイトルがその内容を明らかにしているので、書籍選びがしやすい。もし読書テーマを決めていないのであれば、はじめの一冊として『重力とは何か』をおすすめ。話題になった本であり、一番読みやすい本でもある。この本を読み終えて超弦理論に興味を持ったのなら『大栗先生の超弦理論入門』へ進むのがよいと思う。

大栗博司がどのように知を育み、キャリアを選択してきたかに興味がある方は、『探究する精神』を。

注目を集めたヒッグス粒子関連の知識を得るなら、『強い力と弱い力』を読んでおきたいところだが、大栗博司の本をまだ読んでいない方であれば、まずは『重力とは何か』を読んでみるのがよいのではないだろうか。

【幻冬舎新書】
重力とは何か
著 者:
大栗博司
出版社:
幻冬舎
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大栗博司 profile

『大栗先生の超弦理論入門』より(一部省略して)引用

カリフォルニア工科大学カブリ冠教授、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究員。1962年生まれ。京都大学理学部卒業。京都大学大学院修士課程修了。東京大学理学博士。プリンストン高等研究所研究員、シカゴ大学助教授、京都大学助教授、カリフォルニア大学バークレイ校教授などを経て、現職。アスペン物理学センター理事でもある。アメリカ数学会アイゼンバッド賞、フンボルト賞、仁科記念賞、サイモンズ賞、アメリカ数学会フェロー。

(引用、終)

2014年5月 カリフォルニア工科大学ウォルター・バーク理論物理学研究所 初代所長就任

初投稿日:2014年09月21日最終加筆:2024年05月26日

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