ブラックホールに近づいたらどうなるか?
書籍情報
- 著 者:
- 二間瀬敏史
- 出版社:
- さくら舎
- 出版年:
- 2014年2月
ブラックホールという難解なテーマを扱いながら、イラストなども交えて、気軽な読み物という雰囲気に仕立てあげている
「仙台市天文台の2012年夏の企画」で、ブラックホール特集があったそうだ。この企画にあった「質問箱」に寄せられたいくつかの質問に答えることから本書ははじまる。「ブラックホールに入ったらどうなる?」「ブラックホールに触れることができる?」「ブラックホールはなぜできる?」など7つの質問をとりあげている。
このプロローグのあと、ブラックホールに関連するさまざまなトピックを、要所を太字で強調しながら紹介していく。たとえば、つぎのような話が登場する。
「ブラックホールには毛がない」と言ったのは、「ブラックホールという言葉の名づけ親」であるジョン・ホイーラーだそうだ。これは「ブラックホールの無毛定理」といい、正確にいうと「ブラックホールに毛が3本」となるらしい。こう説明している。「ブラックホールをつくる星にはいろいろな性質(毛)があっても、ブラックホールになる過程で3本の毛(質量、回転、電荷)以外のすべての毛が抜けてしまう」と。では、ほかの情報は本当に消えてしまったのか? その問題については最終章でとりあげる。
この「ブラックホールに毛が3本」定理から、ブラックホールはつぎの4種類に限られるという。「シュワルツシルト・ブラックホール(質量だけをもつ)」、「カー・ブラックホール(質量をもち回転している)」、「ライスナー・ノルドストロム・ブラックホール(質量と電荷をもつ)」、「カー・ニューマン・ブラックホール(質量、電荷をもち回転している)」
このうち宇宙に存在しているのは「シュワルツシルト・ブラックホール」と「カー・ブラックホール」の2種類だけだという。その理由は、「天体は正の電荷と負の電荷が同じだけ含まれていて全体として中性になっているので、自然界に存在するブラックホールは電荷を帯びていないと考えられて」いるためだそうだ。本書では、この2種類のブラックホールを見ていく。
ほかにも、ブラックホールにまつわるさまざまな話題がある。量子力学の話題もあり。
ひとこと
気軽な読み物という雰囲気ではあるが、当然ながら内容が簡単なわけではない。