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出版社:
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なぜ重力は存在するのかーー世界の「解像度」を上げる物理学超入門

書籍情報

【マガジンハウス新書】
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著 者:
野村泰紀
出版社:
マガジンハウス
出版年:
2024年7月

近現代の物理学史をコンパクトにまとめた「超入門」書

ガリレオから説き起こし、ニュートン力学、電磁気学、相対性理論、量子力学、素粒子物理学という流れで近現代の物理学史を概観し、最後に「補講」として統計力学を取り上げている。

これらの一つ一つの話題には深入りせず、ごく基本的な解説にとどめて約250ページにまとめている。副題に掲げられているとおり、「物理学超入門」というイメージだろう。

書名には「重力」の文字があるが、ニュートンの「万有引力の法則」や、アインシュタインの重力理論である「一般相対性理論」は話題の一つであって、それらにフォーカスしているわけではない。「量子重力理論」については触れる程度。本書は、近現代の物理学史をコンパクトにまとめた「超入門」書。

ガリレオからアインシュタインの相対性理論までの主な内容

まず、ガリレオ、ケプラー、ニュートンの業績などをざっと辿り、「運動の3法則」と「万有引力の法則」を説明する。そのあとで、ガリレオの「相対性原理」を解説。

つぎに、「電磁気力の歴史」を簡単に振り返る。ギルバートから始めて、マクスウェルまで。

電磁気学が確立して、新たな問題が生じた。著者は、こう記している。「……マクスウェル方程式を解くと、「何に対する速度なのか」という情報を入れなくても、電磁波の速度が秒速約30万キロメートルと算出できてしまうのです!」と。これは、ガリレオの相対性原理に基づくニュートン力学と矛盾していた。

この矛盾は、アインシュタインの「特殊相対性理論」により解決する。相対性理論には、「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」があり、この違いも説明される。また、アインシュタインの他の業績も紹介している。

量子力学から、素粒子物理学、超弦理論までの主な内容

光は「波」か「粒子」かの論争、プランクの「エネルギー量子仮説」などを説明し、原子や電子に関する歴史を織り込み、「ボーアの原子模型」を解説。

ボーアの理論は、ラザフォードの原子模型の欠点を解消するものだったが、「根拠がなかった」という。その根拠となりそうな理論を提唱したのが、ド・ブロイだった。「物質波(ド・ブロイ波)」とはどのようなものかを見ていく。

この「物質波」の概念に強い興味を抱いたシュレーディンガーは、「物質波の伝わり方を計算する方程式」(シュレーディンガー方程式)を発表した。

「シュレーディンガー方程式には、「波動関数」と呼ばれる関数が含まれて」いる。ボルンは、「波動関数の確率解釈」を提唱した。著者は、こう記している。「波動関数の確率解釈とは、「電子の波は、神様が振るサイコロだ」というものです」と。ボルンに宛てた手紙に、アインシュタインはこう書いたそうだ。「神は、サイコロ遊びはしない」。

シュレーディンガー方程式と確率解釈について述べたあと、「シュレーディンガーとはまったく別のルートで、量子力学の完成に向かっていた」ハイゼンベルクにまつわる話題を紹介する。

ほかに、「コペンハーゲン解釈」や「多世界解釈」、「量子もつれ」などについて解説している。

このあと章をあらため、量子力学と特殊相対性理論を統合した「場の量子論」についての説明からはじめて、「場の量子論」の先駆者で「反粒子」を予言したディラックや、「中間子論」を提唱した湯川秀樹の業績などを見ていく。さらに、素粒子物理学の基礎的なことを解説。

そして、初期宇宙や暗黒エネルギー・暗黒物質の話題を紹介し、「量子力学と重力の折り合いの悪さ」について述べてから、量子力学と重力を統合する理論として期待されている「超弦理論(超ひも理論)」をごく簡単に説明する。

「補講」(約15ページ)では、熱力学と統計力学の話をして、「時間」について考察している。

感想・ひとこと

〝さほど時間をかけずに近現代の物理学史の主要な話題を見渡したい方〟向きの本だと思う。

初投稿日:2024年12月15日

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