宇宙になぜ我々が存在するのかーー最新素粒子論入門
書籍情報
【ブルーバックス】
- 著 者:
- 村山斉
- 出版社:
- 講談社
- 出版年:
- 2013年1月
本書の主役はニュートリノ。ニュートリノは「消えた反物質の謎」を解く鍵を握っている
宇宙誕生直後には、物質と反物質がともに存在していたと考えられている。物質にはかならず対になる反物質があり、物質と反物質は生まれるときもペアで、消滅するときもペアだ。ビッグバンのときも両方できたはず。ところが現在の宇宙には反物質がほとんど見あたらない。私たちの体も地球も太陽も物質でできている。なぜ物質が生き残り、反物質が消えたのか。著者はニュートリノがその鍵を握っているという。
ニュートリノの不思議な特徴が語られる
ニュートリノは私たちの体や大地などをするすると通りぬけてしまう「お化けのような粒子」で、さまざまな不思議な特徴を持つ。たとえば、ニュートリノの質量はほかの素粒子と比べて驚くほど軽い。そもそもニュートリノは質量がゼロと考えられていた。質量があると明らかにされたのは1998年のこと。これは「世界を揺るがす大発見」だった。ニュートリノ振動、太陽ニュートリノ問題など、さまざまなニュートリノの話題がとりあげられている。
ヒッグス粒子にひとつの章(第6章)が割かれている。インフレーション理論の話題もあり
ヒッグス粒子の発見は、世界中の話題となった。本書ではヒッグス粒子とは何か、どのような実験手法で発見されたのかなどが解説されている。著者は「もしかしたら、ヒッグス粒子は、人類が発見した異次元を運動する粒子の第一号なのかもしれない」という。ほかに、インフレーション理論の話題などがある。
ひとこと
本書の中心はニュートリノなので、本書以前の村山斉の書籍を読んできた人も楽しめると思う。
初投稿日:2014年09月12日