エレガントな宇宙ーー超ひも理論がすべてを解明する
書籍情報
- 著 者:
- ブライアン・グリーン
- 訳 者:
- 林一/林大
- 出版社:
- 草思社
- 出版年:
- 2001年12月
各国で読まれたベストセラー。読み応えのある「超ひも理論(超弦理論)」の一般向け解説書
現代物理学の二本柱といわれる相対性理論と量子力学は実は両立しないそうだ。この二つの理論を統合し、究極の理論となることを期待されている「超ひも理論」が本書の主題。
著者は「空間と時間についての理解がどのように発展してきたのかということに焦点を合わせ」、数式を用いず、たとえを駆使して解説を試みる。相対性理論、量子力学、超弦理論と順を追って説明がなされ、そのページ数は索引も含めると574ページに及ぶ。各国で翻訳され、ベストセラーとなった一般向けの読み応えのある「超ひも理論」解説書。日本語版は、2001年に刊行された。
カラビ―ヤウ空間にまつわる著者らの研究が語られる。著者は空間を織物に見立てて解説する。ワームホールは存在する!?
私たちが認識している宇宙は、4次元時空(3次元空間と1次元の時間)だが、超ひも理論は10次元時空の理論で、私たちが感知できない6つの次元があるという。本書によれば、この6次元空間は小さく巻き上げられているそうだ。この6次元空間は「カラビ―ヤウ空間」と呼ばれており、これにまつわる著者の研究が紹介されている。ここは本書の解説の目玉ともいえる。著者は空間を織物に見立て、「織物が穴をつくり、裂け、自らを修復することによって驚くべき変容を遂げうる」と述べる。著者の研究によれば、ワームホールは存在しうるようだ。
11次元のM理論
超ひも理論には、五つの種類がある。この五種類の超ひも理論と11次元超重力理論とM理論は、「双対性により一つの理論的枠組みに統合される」という。このイメージは、M理論という島があり、五種類の超ひも理論と11次元超重力理論のそれぞれはその島の半島部分、というようなもの。本書では、これらの理論の関係などが詳しく述べられている。
「光は年をとらない」
特殊相対性理論の解説の最後のほうで、「光は年をとらない」ことが説明されている。時間と空間のからみあいが、わかりやすいたとえで解説されている。
ひとこと
「カラビ―ヤウ空間」の解説は読むのが大変だったのだが、この解説が本書の最大の魅力だと思う。