すぐに実践したくなるすごく使える睡眠学テクニック
書籍情報
- 著 者:
- 櫻井武
- 出版社:
- 日本実業出版社
- 出版年:
- 2024年9月
睡眠の科学をやさしく紹介し、睡眠の本質を伝える
著者の櫻井武は、覚醒を安定化させている神経ペプチド「オレキシン」の発見者。テレビにも出演している。
本書は、全部(7つの章)で73項目を立て、1項目は2〜3ページ(4ページもある)で解説している。
睡眠に関するいくつものエッセイを気軽に読むという雰囲気だが、脳の部位やホルモンの名称などもたびたび登場する。こうした用語も交えて説明することにより、睡眠の正しい知識、睡眠の本質を伝えている。
著者は、「はじめに」でこう述べている。「小手先のテクニックで誤魔化すのではなく、睡眠の本質を知ることで、より睡眠の大切さを実感したり、眠りに対する不安を解消したり、質を向上させたりすることができるはずです」と。
もちろん睡眠に関するアドバイスもあるが、いわゆる快眠テクニック系の本とは一線を画する内容。睡眠学の正しい知識を伝え、それに基づいてアドバイスしているところが本書の特徴といえる。
睡眠の基礎知識や役割など、多彩な知見に触れられる
睡眠に関する基礎知識(ノンレム睡眠の3段階、レム睡眠、睡眠負債、睡眠圧など)や、睡眠の役割(情報過多になった頭のリセット、脳の老廃物の除去など)についての知識が得られる。
また、不安や期待があると眠れない、空腹で眠れない、カフェインを摂取すると眠れなくなる、ストレスによる不眠など、これらがどのような仕組みによるものかも知ることができる。
体内時計に関する話題も豊富。体内時計についての説明、「夜の強い光」が体内時計に影響を及ぼしていること、体内時計が昼すぎの眠気に関わっていることや、「朝型」か「夜型」かに関係していることなど、体内時計に関するさまざまな知識を紹介している。
ほかにも、夢を見ているときの脳の仕組み、「ローカル・スリープ」について、本来は冬眠しないマウスを冬眠状態にした実験についてなど、多彩な知見に触れられる。
睡眠にまつわるアドバイス、睡眠の誤解を正す
睡眠のための環境、入浴のポイントやタイミング、パワーナップ(昼寝)のコツ、「起きてすぐの行動で体と脳を〝活動モード〟にさせる方法」など、睡眠に関するさまざまなアドバイスをしている。
上述したように73項目もあるので、他にも多様な話題がある。たとえば、睡眠のよくある誤解を正す項目の見出しとしては、つぎのようなものがある。『「最低7時間は睡眠をとる」は嘘』、『睡眠にゴールデンタイムはない!』、『「90分周期」という睡眠神話』、など。
訓練ではショートスリーパーにはなれないことや、「「寝ないで済む」特効薬は絶対にない!」といった指摘も行われている。
感想・ひとこと
短いエッセイを読むような気軽さで睡眠の科学に触れられる。そのような本に興味があるなら、おすすめできる。