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出版社:
講談社
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出版社:
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出版社:
新潮社
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おなかの赤ちゃんは光を感じるかーー生物時計とメラノプシン

書籍情報

【岩波科学ライブラリー】
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著 者:
太田英伸
出版社:
岩波書店
出版年:
2014年12月

胎児や新生児はどのように光を感じているのか。光の情報と成長の関係は? 生物時計や「赤ちゃんの目の光センサーの発達」などを解説し、新生児室の光環境を考える

おなかの赤ちゃんは光を感じるか? 子宮のなかで胎児は、「目ではなく脳で光を感じている」という。胎児は、脳の「視交叉上核」で、母親から送られてくるメラトニンというホルモンを受け取り、「いまは夜だと感じる」そうだ。つまり、子宮のなかで胎児は昼夜のリズムを感じている。この「明暗環境」は、胎児の成長において重要だという。

視交叉上核は、生物時計の中枢と言われている場所だ。私たちの体内では、サーカディアン・リズムと呼ばれる約24時間のリズムが刻まれていることが知られている。体内のほとんどの細胞が生物時計をもち、約24時間のリズムを刻んでいるようだ。視交叉上核の生物時計は、他の細胞の生物時計を調整しているマスタークロックといえる。

本書では、視交叉上核の生物時計はオーケストラの指揮者に、各臓器の生物時計は楽器演奏者にたとえられている。視交叉上核は、「臓器時計」のタイミングを操っている、と。その意味で、母親の視交叉上核は、「臓器時計の一つとして胎児のリズムをコントロールしている」という。

このことは、母親の生物時計が乱れると、胎児の生物時計も乱れることを意味する。こうした状況は、たとえば妊娠中に夜間勤務をする女性の体のなかで現実に起こっているという。その影響は深刻で、出生時の赤ちゃんの体重減少や、早産、流産の危険が高まるといった影響があるようだ。(胎児の成長には、母親からの光の明暗情報だけでなく、母親の食事内容やタイミングも重要だそうだ)

胎児の成長に、昼夜のリズムつまり「明暗環境」が重要であることを考えると、気になるのが新生児室の光環境だ。赤ちゃんにとって「明暗環境」が良いことは、「なんとなく」知られていたそうだが、著者らが調査した段階では、新生児室の光環境は「恒明環境」「恒暗環境」「明暗環境」が混在していた。これは、「光環境の調整だけで体重が増加するといわれても、にわかに信じがたい」ことや、「新生児室の夜間の暗さが医療事故に直結する不安があるからだった」

著者らは、赤ちゃんに昼夜をつくりだすための「光フィルター」を開発する。新生児室の赤ちゃんは「目」をとおして光を感じている。では、赤ちゃんには暗く、大人には明るい「光フィルター」をどうつくるのか。著者らは「赤ちゃんの目の光センサーの発達」に注目する。この一連の話題が、本書のもっともおもしろいところだろうか。光センサー「メラノプシン」の話題を中心に、著者の研究エピソードを交えながら語られている。また、著者のポスドク時代の生物時計の研究エピソードも良い。

冒頭では、「胎児エコー」の話題などもある。

ひとこと

簡略化しすぎていない解説がよい。そのぶん難しいと感じるところもあるかもしれないが、読みやすい文章の本だと思う。約100ページ。

初投稿日:2015年04月13日

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