生命科学の未来ーーがん免疫治療と獲得免疫
書籍情報
【単行本】
- 著 者:
- 本庶佑
- 出版社:
- 藤原書店
- 出版年:
- 2018年12月
本庶佑の2つの講演と静岡県知事・川勝平太との対談を収録
著者の本庶佑は、2018年ノーベル生理学・医学賞を受賞。本書は、「ノーベル生理学・医学賞受賞にあたって」(序)、本庶佑による2016年の第32回京都賞記念講演および2007年の第11回盛和スカラーズソサエティ総会講演、2014年の静岡県知事・川勝平太との対談を収録している。最後に、同知事による「対談へのあとがき」がある。
本庶佑が自身の研究の歩みとその成果を語っている
本庶佑は2016年に京都賞(基礎科学部門)を受賞しており、その記念講演の全文が収録されている。この講演では、自身の研究の歩みを交えながら、その研究成果である、クラススイッチの仕組み解明、クラススイッチが起こる際に働く酵素AIDの発見とその機能解明、「免疫反応のブレーキ役をしている」PDー1の発見およびPDー1阻害によるがん免疫治療について語っている。(なお、専門用語も多数登場するため章末に用語解説がある。)
2007年の第11回盛和スカラーズソサエティ総会講演では、進化の話題などを織り込みながら、生物学の視点から「幸福とは何か」についての自論を展開している。
医療、基礎研究、進化、教育、死生観など多彩なテーマで議論
本庶佑と川勝平太との対談の章題は(書名にもなっている)「生命科学の未来」で、医療、基礎研究、進化、教育、死生観など多彩なテーマで議論している。
たとえば、本庶佑は、「……今日の社会では、生命科学は、基礎的な教養でなければならないと思っています。」「……死生観といいますか、人は必ず死ぬものであり、その死に方はどうあるべきか、宗教の領域にも立ち入りますが、そういうことを考える教養として、生物学、生命科学は非常に重要だと思います。一般の人にそういうことをしっかり身につけてもらいたい。」と述べている。
感想・ひとこと
本庶佑の研究の歩みが垣間見える一冊。
初投稿日:2024年03月22日