風はなぜ吹くのか、どこからやってくるのか
書籍情報
【Beret science】
- 著 者:
- 杉本憲彦
- 出版社:
- ベレ出版
- 出版年:
- 2015年5月
風の吹くしくみを解説するなど、風にまつわる本だが、さまざまな古典物理学(数式なし)の知識も得られる
著者は、第1章から第3章までを「腕立て伏せ(筋トレ)」だという。まず、第1章では、「風を吹かせる大本である、地球の大気を概観し、その成り立ちについて考え」る。第2章では、「大気を動かす原動力である、地球の熱について説明」する。第3章では、「風の吹く仕組み」を解説。
ここまでで「腕立て伏せ(筋トレ)」が終わって、あとは読書を楽しめるのかといえば、たぶん、そんなことはない。もし、気象学、物理学に自信を持っていないのなら、第6章までは〝筋トレ気分〟が続くのではないだろうか? あるいは、今度は〝ランニング〟という気分かもしれない。
第4章では、「身近な風」という章見出しで、たとえば「海陸風と山谷風」、「フェーン現象」、日本や世界の「局地風」などをとりあげる。第5章では、「地球規模の風」という章見出しで、「偏西風」などを解説する。第6章では、「渦巻く風」という章見出しで、温帯低気圧や熱帯低気圧などを解説。
第7章では、「世界の気候と風の関わり」という章見出しで、「気候と文化」や「日本の四季と風」などを論じる。オゾンホールの話題もあり。第8章では、天気予報や地球温暖化の話題をとりあげている。
本書が想定している読者は、文科系の大学生のようだ。「おわりに」でこう述べている。著者が教鞭をとる「慶應義塾大学の教養課程の文科系の学生への講義をイメージして、これまでの理科や数学への苦手意識を取り除き、自然の不思議の面白さを伝えられればと思って、たくさんの事柄を総花的に扱いました」と。
45のコラムがある。
ひとこと
索引まで含めて391ページ。物理学を真面目に勉強してこなかった、と思っている方ならば、読み通すにはそれなりの集中力を必要とするのではないだろうか?
初投稿日:2015年08月31日