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櫻井武
出版社:
講談社
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出版社:
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免疫の意味論
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皮膚感覚と人間のこころ
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出版社:
新潮社
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快感回路ーーなぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか

書籍情報

【単行本】
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著 者:
デイヴィッド・J・リンデン
訳 者:
岩坂彰
出版社:
河出書房新社
出版年:
2012年1月
【河出文庫】
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著 者:
デイヴィッド・J・リンデン
訳 者:
岩坂彰
出版社:
河出書房新社
出版年:
2014年8月

専門的な解説と読み物としてのおもしろさを兼ね備えた読み応えのある本

快感回路――訳者あとがきによると「pleasure circuit」の訳で、脳科学では「報酬系(reward system)」と呼ばれている神経回路のこと。

快感回路すなわち報酬系とは何か。本書では、「快感(報酬)回路の発見」から始める。

1953年、モントリオール。ピーター・ミルナーとジェイムズ・オールズが、「ラットの脳深くに電極を差し込んで、いくつかの実験を行っていた」。ある秋の日、二人の差し込んだ電極は狙っていた場所を外れてしまい、「中隔」と呼ばれる部分に固定されたという。

大きな長方形の箱の四隅には、それぞれABCDのラベルが付いている。この箱に入れられたラットは自由に動ける。二人は、ラットがAの隅に行くたびに、電極を通して短時間の弱い電気刺激を与えた。何度か繰り返した結果、ラットは電気刺激を得るためにAの隅に向かう習慣を身につけていた。

二人は、このラットをAの隅から引き離すことを試みた。ラットがBの隅に向かうたびに電気刺激を与えると、ラットはBの隅を好むようになった。

さらに、つぎの実験を紹介する。

オールズとミルナーは、つぎのような細工を施した。ラットが箱の中のレバーを押すと電極を通じてラット自身の脳に電気刺激が届くようにしたのだ。すると、ラットは1時間に7000回ものハイペースでレバーを押し続けたという。

その後の一連の実験で、ラットは食物や水以上に快感回路の刺激を選ぶことや、脳を刺激しているオスが発情期のメスを無視することなどが明らかになった。

つぎの段階として、電極の位置を順番に変えていき、報酬回路の場所が探求されたという。著者は、報酬回路についてつぎのように記す。

「報酬回路は複数の構造が互いにつながり合って構成されていた。腹側被蓋野、側坐核、内側前脳束、中隔、視床、視床下部など(略)、すべて脳の基部、正中線に沿って分布する構造である。内側前脳快感回路を構成するこれらの領域は、みな同等に報酬感を生み出すわけではない。その中には、一時間当たり七〇〇〇回の自己刺激を引き出す領域もあれば、一時間に二〇〇回の反応しか引き起こさない領域もある」

本書では、さらに詳しく快感回路について説明する。そして、快感回路の観点から、薬物依存、食欲、性行動、ギャンブル依存、瞑想や慈善行為などを見ていく。

ひとこと

報酬系について本格的に解説した本(一般向けレベル)でありながら、勉強的な雰囲気はなく、読ませる本に仕上がっている。

私は単行本を読んでこの書籍紹介を書いたが、下記リンク先は文庫版。

初投稿日:2018年09月18日

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