自己が心にやってくるーー意識ある脳の構築
書籍情報
【単行本】
- 著 者:
- アントニオ・R・ダマシオ
- 訳 者:
- 山形浩生
- 出版社:
- 早川書房
- 出版年:
- 2013年11月
意識はどのように構築されるのか。これまでの著者の見解をまとめつつ、前著『無意識の脳 自己意識の脳』(文庫版書名『意識と自己』)で展開した仮説を〝補足修正〟する
アントニオ・R・ダマシオの著書に、『無意識の脳 自己意識の脳』(文庫版書名『意識と自己』)(原書『The Feeling of What Happens』)がある(日本語版は2003年、原書は1999年のもの)。この本で著者ダマシオは、自己に焦点をあてて「意識」を論じた。
本書『自己が心にやってくる』は、『無意識の脳 自己意識の脳』(文庫版書名『意識と自己』)を〝補足修正〟したものと捉えるとよいのではないだろうか。
著者ダマシオは「出直し」だと言う。こう述べている。「本には執筆する理由があるべきだ。本書は一から出直すために書いた」と。そして、「変更点は特に二つある。感情の起源と性質、および自己の構築の背後にあるメカニズムだ」と述べている。
訳者の山形浩生は「大枠としては――特に研究者でもない一般読者が理解するレベルでは――ことさら大きな変化があったわけではない」と述べ、「これまでのダマシオの議論を集大成」したものと見ている。(ちなみに、ダマシオの前著三冊の訳者は、田中三彦。今回訳者が変わったため、前著と異なる訳語となったものがある)
本書では、「原初的感情」という要素が導入されている。また、「自伝的自己状態の組み立てに貢献する」として、後部内側皮質(PMC)をとりあげている。ほかに、「記憶」の解説も補強されている。著者のこれまでの見解もまとめられている。
ひとこと
意識の構築を詳しく論じているのは、『無意識の脳 自己意識の脳』(文庫版書名『意識と自己』)のほうだと思う。本書は〝補足修正〟だと感じた。
初投稿日:2015年05月09日最終加筆:2023年02月07日