2025年2月に当サイトに追加した書評とレビュー
2025年2月に追加した書評とレビューをお知らせします。
『生命の意味論』(多田富雄)
生命のあいまいさや多重性を浮き彫りにする。本書では、ベストセラーとなった前著『免疫の意味論』で提示した、「超(スーパー)システム」という概念を拡張している。「超(スーパー)システム」の例としては、免疫系、脳神経系、個体発生、ゲノムなどを挙げている。本書が野心的なのは、「超(スーパー)システム」の概念を言語や都市などの「文化現象」にも適用して考察しているところ。
『意識と時間と脳の波 脳はいかに世界とつながるのか』(ゲオルク・ノルトフ)
脳活動の解析をもとに、意識や自己を論じる。著者が提唱している「意識の時空間理論」を脳と時間に焦点を絞って解説。この理論では、「意識は、脳、身体、世界の内部の時間(と空間)に依拠していると見なせる」(同書)と主張する。
追加した書評は、以上です。
そのほかに、「科学本の言葉」に、『レナードの朝〔新版〕』に記されていたオリヴァー・サックスの言葉を追加しました。この本を読んだときに、「健康はいかなる病気よりも深遠なもの」と述べたオリヴァー・サックスの言葉が心に残りました。書評を投稿してからしばらくして、ふと、この言葉をもう少し長く引用して紹介しようと思いました。「健康は深遠なもの」という認識は、健康ビジネス隆盛の現代に生きる私たちにとって重要なものに思えたからです。
『レナードの朝』は、オリヴァー・サックスの代表作です。以前にも書きましたが、この本は映画の原作としても有名ですが、原作といっても小説ではありません。特異な症状を来たした脳炎後遺症患者の症例を「伝記的」アプローチで描き出し、人間の本質に迫る一冊です。当サイトでは、オリヴァー・サックスの著書のまとめも作成しています。
初投稿日:2025年03月04日