生命と食
書籍情報
【岩波ブックレット】
- 著 者:
- 福岡伸一
- 出版社:
- 岩波書店
- 出版年:
- 2008年8月
動的平衡論の観点から、「生命と食」について語ったコンパクトな一冊。62ページの小冊子
本書は、有機農業研究会全国大会での講演(2008年3月)をもとに、加筆したもの。
62ページの小冊子。章立ては、「生きることと食べることの意味」、「狂牛病が私たちに問いかけたこと」、「食の安全をどう考えるか」
「生きることと食べることの意味」では、機械論的生命観と動的平衡論をともに紹介して、「生命が絶え間のない流れにある」という動的平衡論の見方の大切さを、講演らしくやさしく語る。
「狂牛病が私たちに問いかけたこと」では、狂牛病(BSE)の経緯を述べる。
「食の安全をどう考えるか」では、遺伝子組み換え作物や食品添加物の話題からはじまり、食の安全について選択の自由はあるか、などを語っている。
最後の文章を引用して終わりたい。「食物とはすべて他の生物の身体の一部であり、食物を通して私たちは環境と直接つながり、交換しあっています。だから自分の健康を考えるということは、環境のことを考えるということであり、環境のことを考えるということは、自分の生命を考えるということでもあるわけです」
ひとこと
本書は、NDC498なので、大別するとジャンルは「医学」になるが、当サイトでは「医学」だけでなく「生物」にも入れた。福岡伸一の生命論がやさしく語られている本でもあるので。
初投稿日:2016年06月15日