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免疫の意味論
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ブラックホールをのぞいてみたら
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宇宙の約95パーセントを占める未知なるもの。ダークマター(暗黒物質)とダークエネルギー(暗黒エネルギー)

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存在が浮かび上がる〝見えない〟ものたち

現在の宇宙研究によると、宇宙の約95パーセントは未知なるもので占められているという。

しかも、それらは〝見えない〟のに存在すると考えられていて、一方にはダークマター(暗黒物質)、もう一方にはダークエネルギー(暗黒エネルギー)という名がつけられている。

「ダーク」なものたちは正体不明だが、それらが宇宙全体のどれくらいを占めているのかが調べられている。プランク衛星の観測結果によると、ダークマターが26.8パーセント、ダークエネルギーが68.3パーセント、私たちの知る通常の物質は4.9パーセントだそうだ。この数字には変動が見られるが、宇宙の約95パーセントが謎に包まれていることに変わりはないようだ。

〝見えない〟というのは、電磁波(ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波)の観測によって見ることができないという意味。電磁波を発していないため、私たちの眼だけでなく、電磁波の観測機器(たとえば、X線望遠鏡や電波望遠鏡、など)を用いても見ることができない。それゆえ、「ダーク」と呼ばれているという。

見えない重力源「ダークマター(暗黒物質)」

2つの「ダーク」のうち、より解明に近づいているといわれるのは、ダークマターのほうだ。ダークマターとは、「見えない重力源」。見えないが、まわりに重力を及ぼすため、その存在が浮かび上がっているという。この宇宙に星や銀河が生まれたのは、ダークマターの働きによると考えられている。

1930年代に「かみのけ座銀河団」の質量を調べたフリッツ・ツビッキーの仕事や、1970年代にアンドロメダ銀河の回転速度を調べたヴェラ・ルービンらの仕事などによって、ダークマターの存在は浮かび上がってきた。いまでは、重力レンズ効果を用いて、ダークマターの「地図」が作られている。

これまで、さまざまなダークマター候補が検討されてきた。現在最有力候補と目されているのが「WIMP」だ。WIMPは総称で、いろいろな粒子が考えられているようだ。素粒子物理学の理論がその存在を予言する粒子たちがその候補に上っている。

そして現在、ダークマターを「捕まえる」実験が世界各地で行われている。たとえば日本では、神岡鉱山の地下1000メートルで、WIMPがダークマターであると想定した「XMASS実験」が行われている。また、ヒッグス粒子の発見で話題になったCERNのLHCによって、ダークマターがつくりだされるかもしれない。ほかに、ダークマターの対消滅の証拠を探す実験も行われている。

宇宙の膨張を〝加速〟させる「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」

さて、もうひとつの「ダーク」。宇宙の70パーセント近くを占めるというダークエネルギー。これは、宇宙の膨張を加速させる未知なるものだという。

ハッブルによる膨張宇宙の発見以来、宇宙の膨張は遅くなっていくはずだと考えられていた。ところが1998年、Ⅰa型超新星を用いた測定によって、宇宙の膨張が〝加速〟していることが明らかになってきた。この加速膨張の説明として、アインシュタインの宇宙項が復活させられたという。

宇宙項とは何か。『宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く』(土居守/松原隆彦/光文社新書)では、つぎのように説明する。

「宇宙項というのは、簡単に言うと空間に薄く広がったエネルギーです。物質がまったく存在しない真空中にも、宇宙項のエネルギーは存在します。そして、その体積あたりのエネルギーは一定です。そのエネルギーは宇宙が膨張しても薄まりません。空間が大きくなればそれに比例して全体のエネルギーも大きくなるのです。これは通常の物質とはまったく異なる性質です」

同書では、さらにこう述べる。「宇宙項のような効果を、もっと基本的な原理から説明できないかと考えられるようになりました。宇宙に薄く広がり、空間が膨張するにつれて同じように増えていくようなエネルギーがあれば、宇宙項と同様の効果があり、宇宙の加速膨張を説明できます。それは、宇宙項と完全に同じではなく、空間体積あたりのエネルギーは一定ではないかもしれません」。それが何なのかはわからない。マイケル・ターナーは、その正体不明のエネルギーを「ダークエネルギー」と名づけたのだという。

ダークエネルギーの候補として現在よく紹介されているのが「真空エネルギー」だ。ミクロの世界を記述する量子論によると、真空は空っぽではなく、そこには大量のエネルギーがあるそうだ。真空がエネルギーをもっていれば、真空が膨張して大きくなっても、そのぶんエネルギーも大きくなる。これは、ダークエネルギーの性質と合っているらしい。しかし問題もあるという。真空エネルギーの量をざっと見積もってみると、現在見積もられているダークエネルギーの量と比べてはるかに大きくなってしまうのだとか。

ダークエネルギーは、「超新星」を用いた方法のほか、「宇宙背景放射のゆらぎ」を用いた方法、「銀河分布」を用いた方法でも調べられている。この3つの方法から求めた「宇宙のエネルギー密度の測定結果」は、「ダークエネルギーの正体がどこまで調べられているのかを示す重要な図」(『宇宙のダークエネルギー』)だという。

同書のエピローグでは、こんなふうに述べている。「ちょうど、天動説における周転円とは何かという問題が、地動説の登場によりまったく意味を失ってしまったように、ダークエネルギーの問題も根本的なパラダイムシフトを生む可能性は高いのです。ダークエネルギーの問題を通じて、私たち人類はまだ見ぬ未知の世界を明らかにしようと挑戦しています」と。

ダークマターとダークエネルギーを知る書籍

『宇宙は本当にひとつなのか』

宇宙論の本をまだ読んでいない方であれば、ダークマターとダークエネルギーを知るための最初の一冊として本書がよいかも。幅広く宇宙論の話題を紹介しているうえに、ダークマターの話題が多い。村山斉の本はわかりやすいと好評。

【ブルーバックス】
宇宙は本当にひとつなのか
著 者:
村山斉
出版社:
講談社
No image

『宇宙のダークエネルギー』

本書は、2部構成の形で、「理論」と「観測」の両面からダークエネルギーを解説している。宇宙論の入門書を読み、さらにダークエネルギーを知りたくなったときに読むのがよいかも。

【光文社新書】
宇宙のダークエネルギー
著 者:
土居守/松原隆彦
出版社:
光文社
No image

『宇宙を創るダークマター』

著者は「理論面からダークマター探しを牽引する第一人者」(本書著者紹介より)。宇宙論の入門書を読み、さらにダークマターを知りたくなったときに読むのがよいかも。ダークマターの検出実験について詳細に解説。著者のエピソードも織り込まれている。

【単行本】
宇宙を創るダークマター
著 者:
キャサリン・フリース
出版社:
日本評論社
No image

『暗黒物質とは何か』

著者は、ダークマターの検出を目指すXMASS実験のプロジェクトリーダー。ダークマターを概説したのちに、XMASS実験を詳細に解説。ダークマターとニュートリノをテーマにして、実験物理学の世界を描き出した一冊。

【幻冬舎新書】
暗黒物質とは何か
著 者:
鈴木洋一郎
出版社:
幻冬舎
No image

『見えない宇宙』

本書は、ダークマターとダークエネルギーの謎の正体をめぐる科学的な探究を軸にして、ミクロの世界の物理学と宇宙論について語る。読み物としておもしろい。「ダーク」なものたちの探究について知るために、ミクロの世界の物理学を知りたい、という方には本書がよいかも。

【単行本】
見えない宇宙
著 者:
ダン・フーパー
出版社:
日経BP社
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初投稿日:2016年03月21日

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