伝記・小説・哲学・量子力学のどれかに興味がある方におすすめの本
量子革命
- 著 者:
- マンジット・クマール
- 出版社:
- 新潮社
この本は、「量子」という言葉や、物理学の本ということで敬遠されてしまっては、もったいない。
物理学に興味がなくても、伝記や小説が好きな方であれば、おすすめしたい。なぜなら本書は、二度の世界大戦があった激動の20世紀を浮き彫りにしながら、あまたの天才物理学者たちの人物像と交流を、小説のように丹念な人物描写で描き出した、読み応えのある物語だから。
また、哲学に興味がある方にもおすすめできる。「今日なお、多くのすぐれた物理学者と哲学者の心を捉えて放さない」という「実在の本性」をめぐるアインシュタイン=ボーア論争が本書の軸となっている。
おそらく、「サイモン・シン著+青木薫訳にハズレなし」と思っているポピュラーサイエンス好きの読者は多いはず。私もそのひとりだが、著者マンジット・クマールは、サイモン・シンに比肩する力量をもったサイエンスライターであると思う。
もちろん、量子力学がテーマなので、ミクロな世界の物理学に興味がない読者には、うんざりする部分が多々あると思う。それでも、難しいところは気にせず読み流してでも一読の価値がある本といえる。多くの人に称賛されている話題作なので読んでおいて損はないはず。おすすめ。
初投稿日:2015年01月28日