科学本の言葉–39–(エドマンド・バークの言葉)
「読書して考えないのは、食事をして消化しないのと同じである」――エドマンド・バーク
池谷裕二(著)
上記の言葉が記されているのは、『寝る脳は風邪をひかない』(池谷裕二/著)。この本は、『週刊エコノミスト』(毎日新聞出版)の連載エッセイをまとめたもので、脳、記憶、AI、環境、インターネット、医療など多彩なテーマが登場する。1篇のエッセイは2ページで、111篇収録されている。その中の『「ヒト度」を高める心理的負荷の高い読書』というエッセイで、哲学者エドマンド・バークの言葉は紹介されている。
このエッセイで、著者・池谷裕二は「心を読む能力は鍛えられるのでしょうか」という問いを提示して、『サイエンス』誌に掲載された研究を紹介している。その研究によると、「小説を読むのが効果的だ」という。ただし、「文学賞を取るような格調高い文芸作品でないと効果がありません」とのこと。このような内容を綴り、最後にこの言葉を記している。
「読書して考えないのは、食事をして消化しないのと同じである」
〝読書と思考〟を〝食事と消化〟になぞらえているのが絶妙だったので、この言葉を当サイトでも紹介したくなった。
ポピュラーサイエンスの本を読んだ後、その科学的知見にもとづいて、たとえば生命や世界の成り立ちの不可思議さなど、自分なりにいろいろと考えてみることは、おもしろいし、有意義だし、それこそが科学の本を読む醍醐味だと私は思っている。
寝る脳は風邪をひかない
- 著 者:
- 池谷裕二
- 出版社:
- 扶桑社
初投稿日:2024年01月23日