「こころ」はいかにして生まれるのか
著 者:
櫻井武
出版社:
講談社
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「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた
著 者:
橋本幸士
出版社:
講談社
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免疫の意味論
著 者:
多田富雄
出版社:
青土社
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ブラックホールをのぞいてみたら
著 者:
大須賀健
出版社:
KADOKAWA
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これが物理学だ!
著 者:
ウォルター・ルーウィン
出版社:
文藝春秋
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皮膚感覚と人間のこころ
著 者:
傳田光洋
出版社:
新潮社
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新しい免疫入門ーー自然免疫から自然炎症まで(第2版副題:免疫の基本的なしくみ)

書籍情報

【ブルーバックス】
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著 者:
審良静男/黒崎知博
出版社:
講談社
出版年:
2014年12月
【第2版】
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著 者:
審良静男/黒崎知博/村上正晃
出版社:
講談社
出版年:
2024年5月

「免疫反応の流れがよくわかるように」解説した入門書

1~4章までで、「自然免疫から獲得免疫が始動され、さまざまな免疫細胞が協力して病原体の撃退にあたるストーリーを説明」する。1章ではマクロファージや好中球といった食細胞、2章では樹状細胞とヘルパーT細胞、3章ではB細胞、4章ではキラーT細胞をメインに解説している。

5章では、活性化ヘルパーT細胞には「1型」「2型」「17型」があることを述べて、その「三つの免疫ストーリー」を紹介する。

その後で、免疫に関するさらなる詳細に踏み込んでいく。6章では、「遺伝子再構成によって多様な抗体(B細胞抗原認識受容体)やT細胞抗原認識受容体がつくられること」及び「なぜ自己に反応するものがほとんどないのか」を解説。7章では、アナジーや制御性T細胞などを説明する。

8章は「免疫記憶」、9章は「腸管免疫」について。そして、10章で本書の副題にも出てくる「自然炎症」について述べる。11章では、がんペプチドワクチン療法などの話題を紹介している。

TLR(トル様受容体)研究の歴史を交え、TLRを一般レベルで詳しく解説

1996年、「フランスのホフマン博士が、ショウジョウバエのトル(Toll)受容体が真菌(カビ)の感染防御に重要なはたらきをしていることを発見」。翌1997年に「ヒトのトル様受容体の存在が遺伝子上で複数発見された」が、その役割はまだ不明だった。

著者の一人・審良静男らは、「リポ多糖を認識するのはTLR4」であることを1998年夏に突きとめた。よい論文にするために時間をかけ、同年12月、『ネイチャー』に論文を投稿しようとした。ところが、「投稿しようとしたまさにその日、TLR4がリポ多糖を認識するという、アメリカのボイトラー博士らの論文が『サイエンス』に載った」という。「ボイトラー博士と、先のホフマン博士は、2011年のノーベル生理学・医学賞を受賞している。」(引用の際に、漢数字を算用数字に変えた)

審良らは、ほとんどのTLRのリガンドを突きとめた。(リガンドは「受容体に結合する特定の物質」)。1章では、各TLRのリガンドなど、TLRについて詳しく説明している。

また、TLRだけでなく、RLR、CLR、NLRも解説。TLR、RLR、CLR、NLRなどのパターン認識受容体は、ほぼ全身の細胞に存在しているという。

「自然炎症」について解説

TLRなどのパターン認識受容体は、「病原体に特有の成分を認識する」だけでなく、「わたしたちのからだの自己成分の一部も認識する」。そうなると、マクロファージなどの食細胞は、それらの自己成分(内在性リガンド)を認識しても活性化し、炎症をおこすことになるという。「病原体がかかわらないこの炎症を「自然炎症」という。」

また、「パターン認識受容体はほぼ全身の細胞に分布しているため、内在性リガンドで自然炎症をおこしうるのは、マクロファージなどの食細胞だけでなく、ほぼ全身の細胞ということになる」と述べている。

たとえば、痛風は自然炎症だそうで、そのメカニズムを説明している。

感想・ひとこと

免疫反応の大まかな流れを把握しやすい構成になっているところが入門書的でおすすめできる。TLR(トル様受容体)を一般レベルで詳しく知ることができるところが本書の特徴の一つ。

(追記:2024年5月に「第2版」が出版されている。この書評は初版を読んで書いたもの。)

初投稿日:2023年06月30日最終加筆:2024年05月18日

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